2024/04/01より、発熱外来の運営方針が大きく変わりました
発熱外来の趣旨
2020年より本格的に流行し始めた「新型コロナウイルス感染症」(以下、COVID-19)により、「カゼ」は大変ややこしい病気になりました。
COVID-19は
- 人によって大きくインパクトが違う。かかっても無症状な人、あるいは「カゼ」程度の症状で収まる人も多い一方、命を落とす人や、長く体調不良に悩まされる人も少なからずいる。
- ノドが痛い、熱がある、咳が出る、どれか1つだけでも、じゅうぶんCOVID-19の可能性がある。
- 大変感染力が強い。インフルエンザより強い。
- 症状の重い人も軽い人も、同じように接触した他人にうつす。
- 「うつされた人」が重くなるかどうかはその人次第。「うつし元」が軽かったかどうかは全く関係ない。
特に初期例や軽症例では、「ただのカゼ」とCOVID-19の見分けは不可能です。本人は「ただのカゼでしょ?」と思っていても実はCOVID-19であり、周囲の人にとって、時として本人にとっても、致命的になる場合がある。しかも結構多い。COVID-19とはそういう病気です。
そんな病気、「うつす」のも「うつされる」のもイヤですよね? COVID-19の拡大を食い止めるためには、なるべく人から人にうつる事を防がなければなりません。
しかし病医院の待合室は、その意味では元々不利な場所です。「現在は感染していない」人と、「今まさに感染している」人が同居する事が多い場所だからです。しかも待合室は屋内であり、広さもあまりない。容易にその「うつる」場所になり得る。
従って待合室での感染者と非感染者の接触は、できる限り避けなければなりません。それには少なくとも熱や咳・ノドの痛みなど何らかのカゼ症状がある人と、そうでない人は、交叉しないよう分けて診察する必要があります。
この両者の診察を分け、感染の恐れがある人を他の人と分けて診察するのがすなわち発熱外来という考え方です。
どうして2024年4月1日から体制を変えたの?
という訳で、弊院ではCOVID-19勃興以来ずっと「コロナ または インフルエンザ 感染の恐れが高い人」は他の方とは診察時間そのものを分離し、専用の「発熱外来時間」での診察としてきました。昼は11:45~、夜は17:45でやっていたのがそれです。
しかしこの方法、我々医療者側にとっても、患者さんにとっても、少なからぬ負担のあるものでした。熱のある人は指定の時間まで延々待たねばならないし、熱のない人は発熱外来時間に来ても追い返されてしまう。いつまでもこのままというのは、なかなか大変です。変化が必要になりました。
実は感染は減ってないのだが、世間はコロナを怖れなくなった
上の図は東京での週ごとのCOVID-19患者さんの増減を表わしています。東京都のCOVID-19情報サイトから無断で取ってきてコメントを追加したものです。弊院はこのデータを毎週提供している定点報告医療機関の一つですので許してね。
COVID-19は2023/05/08から感染症法上の“5類”に移行しました。それ以来、世間はもうコロナが終わったかのように振る舞い、どこもかしこも碌に感染対策してない人がマゼコゼになりました。電車でもマスクしてる人、半分以下になりましたね。すると実はこの図の通り、5類になる前と同じ位まで患者さん増えてるんです。当たり前ですね。しかし世間の多くの皆さんは、結局警戒をし直す事はありませんでした。良くも悪くも、COVID-19を怖れなくなったのです。別に病気として軽くなったわけではないんですけどね。
そして2024/04/01からは制度上、COVID-19に対するあらゆる“特別扱い”がなくなって、とうとう「普通の病気」と同じ扱いになりました。政府としても「特別なコロナ対策はしなくて良い」とした訳です。
合理的な体制を組み直す必要がある
このような状況下で、我々だけが必死で「絶対に感染を広げない!」と努力してても意味がない。だって医院を一歩出た途端、コンビニにもスーパーにも会社にも感染した人がたくさんいるんですから。だから少し緩めた。だけど完全フリーにはしません。以下のような形にします。
2024年4月1日以降の発熱外来
「発熱している方を診る」事自体はやめません。
発熱外来の対象者(2024/04/01以降)
以下のような方は発熱者として、順次お呼び出しの対象となります。直接来院されても院内ではお待ち頂けません。
- 同居の家族等、身近な人がコロナ確定 → 発熱者として自宅待機 → 診察
- 高熱(38.0℃以上)が経過中に出た人 →発熱者として自宅待機 → 診察
- 少し熱が出た(37.0~37.9℃)人 → 他の症状による
- 微熱+ノド痛、咳など複数の症状がある →発熱者として自宅待機 → 診察
- ノドだけ、咳だけ、熱はない → 院内で待機し診察、ただし他の人とは分ける
高熱があるなど、「COVID-19 または インフルエンザ の疑いが高い人」は“発熱者”とし、ご自宅で待機の上で順次お呼び出し → 診察 という事です。他の人との接触を最低限とするためです。
熱がない方も、「軽い症状だからCOVID-19ではない」とは言えません(コチラ)ので、他の人とは区分けされた待合場所をお使いいただきます。また診察する場所も他の一般患者さんとは分けます。
発熱外来の受診手順
発熱外来の対象になる人は、いきなり来院されても院内にお入り頂けません。以下の手順が必要です。
- 発熱者の受付時間は一般の患者さんより早めに〆切となります。詳しくはコチラ。
- まず 事前に 必ずご一報ください。お電話はこちら→ 03-5677-3232 03-5677-3232 。
窓口混雑時はすぐに電話をお取りできない場合がございます。ご容赦ください。 - 簡単にお話を聞いて軽症そうな方は、そのままご来院頂きます。
- 高熱がある方などは、診察の合間を縫って院長からお電話をかけ直します。この時点で症状など状況を詳しく伺います。
- 他の方となるべく接触しないように配慮しつつ、準備ができ次第、順次お呼び出し致します。苦しいところを誠に恐れ入りますが、診察が可能になるまでご自宅で待機下さい。
当院は基本的に「受付時間内に要請のあった患者さんは一人も断らない」がモットーではありますが、あまりの感染爆発でそれは無理になりました。毎日午前様が何週間も続くようでは正直に言ってコチラも身体がもちません。
2024/04/01以降も、発熱外来には人数制限を設けます。ワクに入りきれなかった方には大変申し訳ございません。翌日をお待ちいただくか、または他の医療機関を探してください。
発熱外来の受付時間
2024/04/01現在、発熱外来の受付時間は以下の通りです。
ただし状況により予告なく変更になる場合があります。
- 9:00~12:00
- 15:00~18:00
発熱者の方は一般の患者さんより1時間早く〆切るという事です。事前問診などの手順が必要なためです。
発熱でない一般患者さん(例:高血圧や糖尿病など慢性疾患で通っていらっしゃる方)は全診療時間(9:00~13:00,15:00~19:00)の受付です。発熱外来の時間を分けていた時期(2024/03/31まで)は遅い時間に受付できませんでしたが、その制限は廃止となりました。
その他の注意
- 同じ発熱者と言っても、全員がCOVID-19とは限りません。いろいろな病気の可能性があります。従って当院では「発熱者同士だから同じ席に一緒に座らせる」というような運営は致しておりません。互いの接触をできるだけ避けるよう、時間をずらしてお呼びしています。
従って上記の手順を踏まずにいきなりお越しになった方は、一旦お帰り頂きます。あしからずご了承ください。 - 有り難いことに当院の発熱外来は多くの患者さんに良いご評価を頂きました。しかし一方で、かなり遠方にお住まいの方からもお問い合わせ頂くケースが増えて参りました。勿論どちらの方でも拒絶は致さない方針ですが、発熱者は行きも帰りも公共交通機関を使えませんので、物理的に徒歩等でご来院頂ける範囲なのか、当院の場所をよくお確かめの上でご連絡頂ければ幸いです。当院の場所はこちらです。タクシーも公共交通機関ですよ。運ちゃんだって人間です。うつしていい訳じゃありません。
費用の件(2024/04/01以降)
2024/04/01以降、費用面でもCOVID-19は完全に「普通の病気」になりました。公費による補助や負担軽減策は一切なくなり、普通の保険診療となります。
これまで高価な抗ウイルス薬には補助が出ていて、実際の負担額より9割引で服用できていましたが、それもなくなります。具体的には1万円~3万円の自己負担になります。服用の是非については診察時に相談しましょう。