4月1日からHibワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン共、再開されました。
この件に関する厚労省公式発表はこちら。
江東区のワクチン助成金を希望する人は事前手続が必要です。詳しくはこちら↓
2011/03/05 厚生労働省より、Hibワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンについて、当面接種を停止するよう、通達が出ました。→ 2011/04/01 この「停止」は、解除されました。
<リンク> (PDFファイルを含む,要 Adobe Reader)
これを受け、2011/03/05より当院でもこれらワクチンの接種を停止していましたが、04/01より再開されました。
このページの履歴
2011/03/05 初稿
2011/03/09 新発表に基づき追記・修正
2011/03/26 専門家会議の結論に基づき追記・修正
2011/04/05 再開が確認され、助成金手続が明らかになったので修正
同時に院長の個人的考えの項は必要なくなったので削除
何があったの?
2011年2月~3月に、三種混合(DPT)ワクチンとHibワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・BCGの内複数を同時接種した後、5名の小児が死亡するという事例がありました(接種したワクチンの組み合わせは症例毎に異なる)。
ここで注意しなくてはいけないのは、以下のようなことです。
- ワクチン接種と死亡に、時間的な近接関係がある事は事実。
- だが時間的な前後関係だけで「因果関係がある」と決め付けることはできない。たとえば黒猫を見た後で車に轢かれても、「事故の原因は黒猫の呪い」とは言えない。
- そもそもこれらワクチンが使われ出したのはこの2月からではなく、1年以上前から。海外では10~20年以上前から。もしワクチンが危険なせいで死亡したのなら、ここ数日に限って死亡事例が集中するのはおかしい。
しかし、短期間に5例も死亡例が出たというのは、重い事実です。現時点(2011/03/05)で接種見合わせという事になるのは、やむを得ない判断と思われます。
亡くなった子供達はどんな症例だったのか
厚生労働省の発表がここにあります(PDFファイル)。また2011/03/08時点でわかっている範囲の詳細も速やかに公開されました。関係各位の尽力に敬意を表します。
以下はこれをまとめ直したものです。症例番号欄から詳細資料(2011/03/08発表分)にリンクしてあります(PDF)。ワクチン欄の記号はロット番号です。
【注】その後2症例追加されました。↓この表にない症例についてはこちら
症例No. | 症例1 | 症例2 | 症例3 | 症例4 | 症例5 |
---|---|---|---|---|---|
DPT | - | AC014D | AM009B | AM009B | - |
Hib | E1235 | - | E1065 | E1234 | E0770 |
肺炎球菌 | 10G03A | 10G03A | 10E02A | 10H01A | - |
BCG | - | - | - | - | KH128 |
年齢 | 2歳 | 1歳7ヶ月 | 6ヶ月未満 | 6ヶ月~1歳未満 | 6ヶ月未満 |
性別 | 男 | 女 | 女 | 女 | 男 |
基礎疾患 | 心室中隔欠損症 慢性肺疾患 気管支喘息 てんかん |
なし | 調査中 |
右胸心 単心室 肺動脈閉鎖症 |
チアノーゼ 右心室肥大 |
接種日 | 2011/02/28 | 2011/03/01 | 2011/02/17 | 2011/03/03 | 2011//02/04 |
死亡日 | 接種翌日 | 接種翌日 | 接種3日後 | 接種翌日 | 接種2日後 |
報告日 | 2011/03/02 | 2011/03/03 | 2011/03/04 | 2011/03/04 | 2011/03/05 |
所在 | 宝塚市 | 西宮市 | 川崎市 | 京都市 | 都城市 |
謹んで亡くなられた子供達のご冥福をお祈りします。
【この表と詳細資料でわかる事】(2011/03/09時点)
- 5症例は同一ロットを接種したわけではない。組み合わせもバラバラ。
(=当初言われていた【製造ロットによる問題】説はほぼ否定して良い) - 5例の内、少なくとも2症例(No.1と4)は重大(致死的と言える程)な基礎疾患があった。
- 1症例(2)は基礎疾患がなかった。経過から見て死因は何らかの急性感染症を疑うところだが、確定できない。
- 1症例(3)は「調査中」だが重大な基礎疾患はない模様。死因は窒息を疑う状況だが、不明。
- 1症例(5)は出生時の異常が指摘されているが、その後の健診では異常が消失している。死亡周辺の情報が少なく死因は全く不明。
【わからない事】(2011/03/09時点)
- 症例3の死亡前3日間の経緯がなお不明
- 症例1と4の死亡が基礎疾患によるものなのか、そうでないのか
- 症例2に疑われる「感染症」の実態
- 症例5の詳細
今後どうなるの?→ 再開されました。
紆余曲折ありましたが、関係者の科学的で冷静な分析により、2011/03/24開催の開催の会議で、「ワクチンと死亡には因果関係は認められない」という結論になりました。これにより04/01よりこれらのワクチン接種は再開されました。
再開なんて心配だという人へ
Know-VPDサイトを是非読んで下さい。ホントお願いします。
これらワクチンに関して不安をお持ちの方、是非ここ(Know-VPDの薗部友良先生の緊急コメント )をお読み下さい。その他にも数多くのコンテンツがあり、Know-VPDのサイトは大変勉強になると思います。お子さんをお持ちの方は是非!