各種ワクチンについてのご紹介です。

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少しずつ作っていきます。

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麻疹(はしか)ワクチン

現在では麻疹単独ワクチンではなく、風疹ワクチンと組み合わせたMRワクチンを接種するのが普通です。ここでは麻疹についてのみ記載します。風疹ワクチンについてはいずれまた。

麻疹は麻疹ウィルスの空気感染や飛沫感染によりおこります。麻疹ウィルスは感染力が強い事で知られ、しかもしばしば重症化を来すので、かなり怖い病気と考えていいと思います。致死率は10,000人に1人程度で、日本では現在でも、年間約50人前後の子供が麻疹で死亡しています。予防接種をみんなできちんと受けていれば、その大半は“防げる死”なのです。悔しい。

麻疹の経過

麻疹ウィルスに感染すると、10日前後の潜伏期を経て、38~39℃程度の発熱が現れます。この時期をカタル期と呼びますが、症状は咳・鼻水・結膜炎などだけであり、まだ発疹は出現しません。このため経過の最初から「これは麻疹である」という診断をつける事は不可能です。しかもやっかいな事に、この時期が最も他者への感染力が強いのです。

カタル期は2~4日程度続きます。多くの例でその最後の頃に頬粘膜にコプリック斑と呼ばれる白色小斑点が出現しますが、これは麻疹特有のものなので、これが確認されれば発疹出現前に麻疹と診断できます。ただしコプリック斑が出ている時期は短いので、タイミングよく受診でき、しかも医師がそれに気づかないと発見されません。

典型的な麻疹ではカタル期の後に一旦熱が下がるのですが、その後、発疹出現と共に再度発熱します。発疹は全身に広がり、やがて色素沈着を残して消退していきます。

治療法はなく、かかったら体力勝負のみです。負ければ死にます。唯一人間に出来るのは予防する事だけです。

麻疹の合併症

麻疹で怖いのは合併症です。

合併症には麻疹ウィルスそれ自体が引き起こすものもあるし、他の菌によるものもあります。麻疹感染後の数週間は免疫機能の低下が起こるので、他の菌への二次感染や、それまで体内にいたが大人しくしていた菌(例:結核)の顕性化などがおこり易いのです。大小様々な物を全部足すと麻疹患者の30%に合併症が認められると言われています。その好発年齢は5歳未満の乳幼児と20歳以上の大人です。

合併症で最も多いのは中耳炎(10%位)ですが、何と言っても怖いのは肺炎(5%位)と脳炎(0.05~0.1%)であり、特に脳炎では15%が死亡、20~40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞,行動異常,聾,麻痺など)を残してしまいます。基本的に治療法はありません。

あんまり脅すのもどうかと思うのですが、真実だから書きましょう。更に怖い合併症として亜急性硬化性全脳炎<Subacute Sclerosing PanEncephalitis;SSPE>というのがあります。これは麻疹罹患後、7~10年程度の“潜伏期”を経た後に発症することのある中枢神経疾患です。知能障害・運動障害が徐々に進行し、つまりざっくり言うと段々と植物状態になっていき、発症後平均6~9カ月で死亡するというものです。麻疹ウィルスの中枢神経細胞への持続感染によるものと考えられていますが、実態は未だ不明です。発生頻度は麻疹患者10万人に1人とされています。

日本は世界に冠たる麻疹「汚染」国

このように麻疹は「かかったら人間には手が出ない、本当は怖い病気」ですが、既に先進国では過去の病気です。たとえはアメリカでは麻疹の予防接種(正確には更に風疹とおたふくのワクチンを混合したMMRワクチン)はほぼ義務化されており、余程の理由がない限り接種してない子は学校への入学が許可されません(従ってほぼ全員接種する)。当然、麻疹患者も少なく、21世紀の今では全米で年間100人の患者が出ません。そしてその100人の多くはアメリカ人社会での発生ではなく輸入症例、即ち、既感染(ただし潜伏期)の外国人が渡米後に麻疹を発症したものと、その後周りの人に感染させたものに過ぎません。つまり麻疹は予防接種の徹底で排除できるのです。

それなのに日本では予防接種しない人(正確に言いましょう。子供に接種をさせない)が多いため、ロクに接種率が上がらず、21世紀の今でも年間50人の麻疹による死者を出しています。これでは恥ずかしくてとても「先進国」なんて言えません。実は上記した「アメリカに麻疹を持ち込む外国人」の最大派閥は、我々日本人なのです。

日本人が子供にきちんと予防接種をさせない理由はいくつか考えられます。

  • 「病気」ってもんをなめている。病院に行けば「すぐ治るはずだ」と根拠もなく思い込んでいる。実際には人間にはどうにもならない病気がゴマンとあるのに。
  • 科学的思考の訓練がおざなりで、「予防接種は危険!」と闇雲にわめくカルトさん達の言うことを容易に真に受けちゃう。
  • 正しい知識を啓蒙するべき立場のマスコミが、その務めを果たさないばかりかむしろカルトさん達の味方で、人々の不安を煽っている。勿論、その方が人目を引けるから。

ワクチン否定派の人達がどうなろうと私は全く興味がありませんが、下らない自己アピールのために子供達を巻き込み、死者を増やすのはやめて貰いたいものです。

標準的な接種時期

特殊な流行をした年は別として、麻疹の最好発年齢は1歳で、全体の20%程度を占めます。これに次ぐのが0歳児です(10%)。これは母からの移行抗体(胎盤経由で母の抗体を貰って生まれてくる事)が生後4~6ヶ月までにほぼ消失してしまうからです。すると生後6ヶ月位で接種するとよさそうに思えます(実際、そういう国もある)が、移行抗体が残ってるとワクチン成分を食っちまってうまく免疫誘導できない(=接種が無駄になる)可能性もあるので、日本では採用されていません。しかし麻疹の合併症が乳幼児に多い事を考えると、好発年齢である1歳時にはもう免疫が出来ているようにしたいですよね。

よって、1歳になってすぐ、誕生日に接種する位の気持ちで、まず1回目の接種を行います(これを“1期”と呼ぶ)。続いて幼稚園年長さん相当の年齢でもう1回(これを“2期”と呼ぶ)。この2回接種です。

現状での問題点

  • 何と言っても接種率が低い事です。余りに低くてどうにもなんない現状を鑑み、2013/03/31までの特別措置として中1(“3期”と呼ぶ)と高3(“4期”と呼ぶ)に追加接種する事になっています。これで全児童が少なくとも1回は予防接種しているという状況を作ろうとしているのですが...どうなる事やら。
  • 日本のワクチン接種は世界に指さして失笑されるレベルなのですが、その原点は麻疹ワクチンです。書き出すといろいろありすぎて長いので一つだけ↓。
  • 「ワクチンによる死者の方が麻疹による死者よりも多い」なんて完全なウソを平気で垂れ流し、しかも指摘されてもきちんと訂正をしない、そんなマスコミのせいで、
    日本では未だに年間50人の子供が死ぬんです
    ワクチン普及させればほぼ排除できるはずの病気で。少しは考えろ馬鹿野郎。